特集 2025年6月3日

今、都内の路上に大量に落ちている謎の「ゴム輪」を大調査

今、都内の路上には大量に“あるもの”が落ちています。それはそれはもう、膨大な量です。

ある期間大量に存在して多くの人の目にも触れていたのに、記録する人がいなかったばかりに歴史に残らない些細な事象。そういうものがあまりにも多すぎて、きっと数千年後の人達は我々の生活を正確に知ることはできないでしょう。

四月のある日の朝。令和の時代に大量発生した“あるもの”の痕跡をインターネットに刻みつけるため、私は調査を行いました。

1980年、東京生まれ。片手袋研究家。町中で見かける片方だけの手袋を研究し続けた結果、この世の中のことがすべて分からなくなってしまった。著書に『片手袋研究入門』(実業之日本社)。

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謎のゴム輪

早速ですが、“あるもの”とはこれです。

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ゴムの輪っか(以下、ゴム輪)
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カラフルなものも

このことに気付いたのは2年ほど前でした。私は片手袋研究が本業なので、どうしても落ちている物には敏感になるのです。

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本業?

「なんか最近よく見るな」と気付いた途端、外に出れば必ず視界に入るようになりました。

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もう夜中でも見つけられます
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これはなんなのか?

「正体を突き止めねば」と頑張るまでもなく、最初からキャリーケースの車輪に付けるものだと見当つきました。

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Amazonで検索してみると「キャスターカバー」などの名前で大量にヒット。100均でも定番商品らしい

早朝、キャリーケースの「ガラガラッ」という音が町に響いて(迷惑だろうな)と焦った経験が誰しもあると思いますが、これを付ければ消音効果が期待できますし、舗装が粗い道路でもスムースに移動できそう。

確かに便利な商品だとは思うんですが…。落ちてしまってるんですよ、とんでもない数。

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ここ、4つも落ちてる…

商品として完成形に至っていないのか、ポロポロ車輪から外れてしまうようです。

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上野を調査

現在の東京の路上にどれくらいゴム輪が落ちているかを読者の皆様に実感して頂くため、妻と共に調査を行ってきました。

調査地に選んだのは、最初にゴム輪の存在に気付いた上野。さすがに落とし物と言うよりゴミだと思うので、見つけ次第トングで回収します。

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調査日は4月7日。ちょうど桜が咲き始めた時期
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JR上野駅の主だった出口周辺、及び京成上野駅周辺を調査範囲としました
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スタートは公園口から

ところが公園口周辺はとても綺麗で、ゴム輪どころかゴミも落ちてません。林編集長には事前に「もう幾らでも落ちてます!」などと力説していたので焦りました。綺麗なのに焦るってなんなんでしょうか?

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しばらく歩き回ってようやくひとつ目を発見
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回収します。なんだかホッとしました
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僅か2時間で…

そこからはもう、休む間もありませんでした。

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ヒョイッ
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ヒョイッ
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ヒョイッ
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ヒョイッヒョイッ

途中から何かのゾーンに入ってきて、分かり辛い場所に落ちてても瞬時に見つけられるようになりました。

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フェンスの向こう側でも這いつくばって回収

約2時間後。30リットルのゴミ袋がこんもりするくらい収穫できました。

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これが栗ならしばらく栗ご飯を楽しめる量ですが、何度見ても袋の中はゴム輪でした
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さすがに汚いので何度も殺菌洗浄したら、幾つかバラバラに崩れてしまいました
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調査結果から分かったこと

調査の過程や結果を経て、幾つか分かってきたことがあります。まずは2025年4月7日午前9時から11時までの調査結果です。

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48.5個のゴム輪を収穫(ちぎれていたものは0.5でカウント)

分かったこと①高台より低地

明らかに公園口・パンダ橋口など高台の出口よりも、上野広小路口から入谷口にかけてと京成上野駅周辺といった低地に多く発生していました。

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ペデストリアンデッキなどの高所は全然ない。単純にキャリーケースを持って上がる人が少ないのかも

分かったこと②まとまって落ちている

落ち方の傾向がありました。イメージとしては以下のような感じです。

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どこにでもあるというより、固まっている
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このようにまとまって落ちてることが多い。『Ebony and Ivory』
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特に多いのはグレーチング周辺。『Black or White』

しかし「まとまって落ちている場所=キャリーケースの車輪からゴム輪が外れやすい場所」ではなく、「まとまって落ちている場所=車輪から外れたゴム輪が最終的に辿り着く吹き溜まりのような場所」だと思います。つまり「発見場所≠発生場所」ということです。

⏩ ゴム輪を集めたライター石井さんが取った行動は!?

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